2011年3月17日:震災原発ショック

2011年3月17日:震災原発ショック_アイキャッチ

発生から5年半が経ち、その間の度重なる自然災害で記憶も薄れつつある東日本大震災ですが、現地はなおも復興途上であることなど、その影響は現在でも残っています。経済面でもその影響は大きく、株式・為替の両方で記録に残る値動きをしたことで知られています。今回は、2011年の東日本大震災の日本経済への影響について見てみましょう。

記録的な暴落となった日経平均株価

東日本大震災が発生したのは、国内の株式市場が閉まる間際の14時46分でした。株式市場の所在する東京・名古屋・大阪には直接大きな被害はなく、地震を原因とする値動きは小幅なものにとどまりましたが、被害規模が明らかになるにつれて日本企業に対する不安が大きくなります。地震発生後の大きな取引となったニューヨーク証券取引所の取引ではダウ平均が上昇する中で日本企業の株式や株式と同等の仕組みである米国預託証券(ADR)の価格は先行き不安から下落することとなります。
このようにじわじわと影響が出ていた東日本大震災の影響が明確になったのは、世界最大の先物取引所であるシカゴ商業取引所の日経平均先物の取引でした。シカゴ商業取引所の日経平均先物のアメリカ時間11日の終値は前日比300円安を記録。震災後のはじめての国内営業日となった14日の日経平均は全面安となり、15日には前日比1015円安の8,300円台を記録します。
この下落幅は1987年のブラックマンデーや2008年のリーマン・ショックに次いで過去3番目の下落率であり、日経平均株価は世界規模での金融危機と言われた2008年以来の水準まで落ちこむこととなりました。

投機的な買いから急騰した為替レート

このように記録的な急落となった株式市場に対して、急騰したのが日本円の為替レートです。常識にしたがえば、日本経済の先行き不安から円が売られて円安に進むはずですが、震災特需を期待した為替トレーダーの思惑買いにより急速に円高が進行。わずか14日から17日の3日間で7円も円高が進むこととなりました。17日にはニューヨーク外国為替市場で1ドル=79円台だった為替レートは、1時間あまり後のシドニー外国為替市場で一時1ドル=76円台を記録、戦後最高値を大幅に更新することとなります。この急速な円高に歯止めをかけるために、日本銀行は5日間で総額85兆円の為替介入を実施、10年ぶりとなるアメリカ・ヨーロッパとの協調介入とあわせて、1ドル=80円台を回復、円高に一応の歯止めがかかりました。

東日本大震災の経済的影響とその対処

被害額の算出方法や対象によってその内容や金額は大きく異なりますが、世界銀行が3月下旬に算出した数値では最大で2千350億ドル(約19兆円)、日本政府は6月下旬に16兆9千億円という試算を出しました。
その内訳を見てみると、

  • 建築建物…約10兆4千億円
  • ライフライン…約1兆3千億円
  • 社会基盤…約2兆2千億円
  • 農林水産…約1兆9千億円
  • その他…約1兆1千億円

となっています。
(出典:平成24年度版防災白書
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/h24/bousai2012/html/honbun/4b_8s_14_00.htm)
この膨大な金額の損失から回復するため、7月に策定された復興基本方針では5年間で19兆円、10年間で23兆円を支出することを決定します。この財源を確保するため、復興特別所得税が設けられるなど、直接の被災地ではない地域にも負担が生じることとなりました。

おわりに

歴史に残る大災害となった東日本大震災は、直接的な被害はもちろん、経済的な被害も極めて大きなものとなりました。現在でも完全に復興したとは言えませんが、近い将来に予想される首都直下地震ではどのように対処するのかも含めて、その経験と対策を取りまとめて活かす必要があると言えるでしょう。