2008年10月24日:クロス円の大暴落

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外国為替市場はたびたび大きな下落を記録していますが、2000年代に入るとグローバル化やFX(外国為替証拠金取引)の普及などにより、その値動きはより大きくなる傾向が続いています。今回は、リーマン・ショック直後の2008年10月のクロス円の急落を見てみましょう。

100年に1度となったクロス円の大暴落

サブプライムローン問題が表面化して米ドル金利が急低下したことで、米ドルは投資先としての旨味がない通貨になりました。高い収益を期待されるヘッジファンドをはじめとする為替トレーダーが、米ドルに替わる収益源として注目したのが「ドルキャリートレード」です。ドルキャリートレードとは、米ドルを売って豪ドルやニュージーランドドルなどの高金利通貨を買い、スワップを狙う戦略です。比較的安定して収益を獲得できたことから、ドルキャリートレードを実行する為替トレーダーは少ないものではありませんでした。2008年上半期は、ユーロや豪ドルなどは対米ドルで1割強も上昇して高値圏をキープ、ドル売り・高金利買いポジションが積み上がっていたのです。
ドル売りのポジションが積みあがっていたところに、「大きすぎて潰せない」と言われた投資銀行の一角であるリーマン・ブラザーズ破綻をきっかけとするアメリカ発の金融危機が発生します。ドル売りのポジションであるドルキャリートレードには影響がないと思われていました。しかしアメリカの金融システム自体が崩壊する危機にあることが明らかになると、現金をかき集めるために損を承知で高金利通貨を売って米ドルを買う動きが一気に強まります。その結果、高金利通貨の米ドル相場は暴落することとなったのです。

この動きとは別に、日本はアメリカ・ヨーロッパほどリーマン・ショックと世界金融危機の影響を受けなかったことで、比較的安全な通貨として扱われるようになります。そのため、ドルキャリートレードの巻き戻しと合わせて安全資産である日本円に人気が集中したことで一気に円高も進みました。

主要通貨との為替レートに限ってみても、

  • 米ドル/円(USD/JPY)…1ドル=102.13円(10月21日)~1ドル=90.83円(10月24日)
  • ユーロ/円(EUR/JPY)…1ユーロ=136.38円(10月21日)~1ユーロ=113.69円(10月24日)
  • 英ポンド/円(GBP/JPY)…1ポンド=175.56円(10月21日)~1ポンド=138.83円(10月24日)

と通貨によっては数日のうちに10円単位で値動きをする暴落模様となりました。

ハイレバレッジのトレードが軒並み刈られた2008年10月の暴落

2008年10月の暴落では、安定したスワップが期待できることから人気を集めていた豪ドルとの為替レートが文字通り暴落しました。そのため、長期運用を目指していたロングポジションや、ハイレバレッジでの取引を中心としていたトレーダーは軒並み大きな損失をこうむったり、ロスカットの対象となっただけではなく、ロスカットが間に合わずマイナスが生じるケースもあるなど、その影響は小さいものではありませんでした。リーマン・ショックによる暴落をやり過ごせたトレーダーでもこの暴落に掴まるケースが多く、かなりのFXトレーダーが退場を余儀なくされることとなりました。

おわりに

歴史に残る暴落が短期間で続いたことで、世界の金融システムは崩壊の危機に立たされましたが、その後の対策が功奏したことで世界経済の崩壊といった事態は避けられました。しかしこの後にも、数年のスパンで様々な難題が振りかかるのです。